クールガールと獣《ケダモノ》くん
「結衣ってさ、本当に男に落ちたときどんな顔すんだろな。」


「知らないわよ。」


「見てみてえな。」


「は?」


「なんとなく。
結衣のそんな顔見てみてえ…」


本当か…嘘か…


わからないけれど。


独り言のように、この人は呟いた。


「ねえ、何で私に構うの?」


「それは結衣もだろ。」


確かに。


人と関わるのが嫌い。


自分と同じ人間のコイツが嫌い。


なのに…


何でか目につく。


「失礼します。
恭二さんお願いします。」


ボーイがやって来た。


「俺、人気者なんで、
行くわ。」


「じゃ。」


「冷たいな~
そこは寂しがるとこじゃん。」


「仕事なんだから、
寂しがるも何もないでしょ。」



「じゃあ、これは彼氏として。」


立ち上がった佐原恭二は、私の腕をくいっと引っ張ると、ギュッと抱き締めた。


店内はきゃああっと悲鳴があがる。


「やめて。」


「愛してるよ~結衣ちゃん。」


そう言い残し、
指命客の元に行った。


心がこもってないってーの。


バーカ



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