願う場所、望む奇跡
だから正直、亡くなったと聞いても何の感情も湧かない。
弟も今は17か18歳のはず。
見ても誰か分からないだろう。
そうは思いながらも、母親と葬儀に出かけた。
久しぶりに見る父親は、ずいぶん老けた感じがした。
元々体が弱かったのか、息子を1人で育てたのが大変だったのか分からないが、病死だったらしい。
まだ、50歳だった。
「今日は、ありがとうございます」
父親の遺影を見つめていると、後ろから声がした。
振り向くと、そこにはイケメンと言えるほど整った顔の男がいた。
身長は、180cmはあるだろう。
すらりと伸びた手足。
思わず見とれてしまう。
そんな私に構わず、母親は話し出す。
「お久しぶりね。何も手伝ってあげられなくてごめんなさいね」
申し訳なさそうに言う母親に、私は驚いた。
「お母さん、知り合い?」
そう聞くと、母親は呆れた顔をした。