恋の練習屋
次の言葉は私の意思に構わず、呼吸するように出てきた。


「あとね、私、あんたのことが好きみたい」


「……は?」


宮原が素っ頓狂な声を出して、我に返る。


わたっ……今、好きって……言ったぁぁぁぁぁあ!?


「あ……いや、その、今のは……」


なんで、どうして!?もう少し雰囲気とか、タイミングとか待てなかった!?何が『好きみたい』よ!曖昧にぼかしてんじゃないっつーの!!


自分でも整理がつかずにしどろもどろしていると、宮原がクスッと笑った。


「あんた、自分で言ったくせに、俺より動揺してんじゃん」


「わ……悪い?」


「いや、可愛いんじゃない?」


「はっ!?」


宮原がそんな似合わないことを言うから、思わず私は赤面してしまう。


そんな私を見て、宮原は更に笑う。


そして、そのまま顔を近づけて、言った。


「あんたの言葉を借りるなら、俺も『あんたのことが好きみたい』だ」


……自分の耳を疑った。幻聴かなんかだと、本気で思ってしまった。


宮原の眼を見れば、本気中の本気で。幻聴じゃないことを認めざるを得なくなった。


「……『好きみたい』って何よ。曖昧ね」


「お互い様だろ」


「じゃぁ、言い直す。好き、宮原」


「んじゃ、俺も。好きだ、仲野」


見つめ合いながら、そんな会話をすれば、どこか可笑しくて。今度は二人でクスクス笑い合った。


捻くれ者で、素直じゃない私達。


これくらい捻くれているほうがいいのかもしれない。


「なぁ、仲野」


「なに」


「俺達、付き合う?」


「そうだね、付き合うか」


うん。これくらいがちょうど良い。




















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