私の彼氏さま!!

大きな交差点で夕樹くんとは別れ、
キャリーバックを引きずりながら愛羅の家に帰る。


渡されてあった合い鍵で玄関の扉をあけて雑に靴を脱ぎ捨てる。


部屋にキャリーバックを置いてから、
服やら化粧道具やらを片付けていくと、
携帯の着信が鳴った。


「もしもし」


『あ、うち。
いま汐音どこいる?』


着信の相手は愛羅。


1日ぶりに声を聞いただけなのに、なぜか
とても懐かしく感じてしまう。


「今?いまは愛羅の家。さっき帰ってきたよ」


『早かったね。どーだった?』



「うん、楽しかったよ」



電話の向こうで愛羅が笑ったのがわかる。

『なら良かったよ。
あ、でさ、ちょっと買い物してくんない?
牛乳とコーヒー豆と、食パン』


言われたそれらを近くにあった紙にサラサラとメモをしていく。


「了解、買っておくよ」


『頼んだ!』



それだけ言うと、私が返事をする前に電話を切ってしまった。


「はやっ!」


電話を切る早さ、私のおばあちゃんと互角かも、と1人で笑う。



取り敢えず、お腹がすいたから何か食べて、それから晩ご飯を作ってから買い物に行こう。


冷蔵庫を開けてサーモンとミニホタテを取り出すと、レタスとトマトを切って、玉葱をスライスし、皿についでドレッシングをかける。

私が小さい頃からの大好物、超簡単!カルパッチョの出来上がり。


あとは白ご飯をレンジで温めて、そのあいだに卵スープを作る。


「いただきます」


どれも簡単な料理だったけど、味は絶品!

あっという間にぺろりと料理を平らげて、
晩ご飯の準備に取り掛かる。




「あっ、やば。もうこんな時間」



時刻は17時。

料理を始めてしまうとすぐに時間はあっという間に過ぎてしまうもので、
危うく愛羅から頼まれたお使いを忘れてしまう所だった。


歩いて行くと少し時間がかかってしまう為、勝手に愛羅の自転車を借りることにした。

これなら15分ほどでスーパーまで行ける。



マイバッグと財布、買うものを書いたメモを持つと家を出て鍵をし、自転車に乗って
スーパーまで向かう。



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