エチュード ～即興家族（アドリブファミリー）～

どれくらい時間が経ったのか。
少なくとも、まだ３０分は経ってないと思う。
ドアをノックする音に、私の体が少しビクンと跳ねた。

「社長。ゼンが来ました」
「他は」
「小池さんも含めて全員います」
「分かった。みんな来てもらって」
「分かりました」

秘書と思われる人に社長さんはそう言うと、私の方を見た。

「小池はライズのマネージャー。キミの話は、俺も入れて全員で聞く。それがこっちの条件だ」
「はい・・・分かりました」

と私が返事をしたのと同時に、人が入ってきた気配を感じた。
条件反射のように、私はソファから立ち上がり、その方向へ体を向ける。

・・・善、だ。
善がいる。ここに。

ついに・・・ついに、善と再会してしまった・・・。

「入りまーす。社長ー。俺に話って・・・・・・」