一ノ瀬さん家の家庭事情。
浅丘君、インフルエンザなの!?

もしかして、あたしの持ってたインフルエンザウイルスうつしちゃった!?

「もう熱はないらしいけどね。」

でも少しだけ安心している自分がいる。

だって怖かった。

自分があんなことしたのに、勝手だよね。

「愛ちゃん?」

「あっ、ううん!」

でもこのまま逃げてるわけにはいかない。

そんなことわかってる。

勇気が集まるのを待っててもダメだよね。

待ってたって集まるわけないもん。

自分の中から生まれてくるものなんだから。

勇気は集めるものじゃない。

自分で起こすものだから。


部活が終わり、家に帰るとリビングのこたつで玲とりっちゃんが寝ていた。

あたしがこたつで寝てたら

「風邪ひくから布団で寝なさい!」

ってりっちゃんは言うくせに。

「あー、腹減った。愛、なんか作って。」

遅れて入ってきた真兄がスポーツバックを肩からおろしながら言う。
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