All I have to give




「おい、起きろ!」


「…………」



「…ったく、7時に起きろっつったのに」


右頬に違和感を感じて、ゆっくりと瞳を開けた。


「お、起きた」


「ハ…る?」


軽くつねられているが、まだ意識が朦朧としている。ハルがベッドの縁に座って、両頬をつねり出した。



「お前、すっげぇブサイク」


「ムッ…」


休みなのに、ハルは朝早い。
仕方なく瞳を擦りながら起きると、ハルは当たり前のように、私のクローゼットを漁り始めていた。


「これ、瑠美が着てたやつじゃん!」


「あー…もう、それは!」


何で発見しちゃうかなー…

寝起きから大きな溜息が出た。


「似合いそうにねぇけど、まぁいい。コレ、着てみろ」

「んなの、分かってる」


似合ってないなんて。肩も大きく開いてるし、寸胴な私には似合いませんよ。

私に否定権はない。

ボサボサの髪を更に手で乱しながら、私はベッドから下りた。


「制限時間30分。そんだけありゃ充分だろ」


そう言い残してハルは部屋を出ていった。

いつだかの5分よりは、マシだけれど…


「絶対着ないって思ったのにーっ…」



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