All I have to give



「私は、結局感情を殺してでも…ここでしか生きていけないと気付いたの。でも、悠斗は違う」


「どういう意味だ?」



「お金や権力がなくても、自分自身もあの子も幸せにできる」



結愛が言っていた言葉が蘇る。


“あたしが欲しいものは、お金やカードで買えるものじゃないから…”



日和に似た結愛で、心に空いた隙間を埋めようとしていた。
それなのに、結愛を心から愛していると気付いた時にはもう全てから逃れられなくなっていて。


もっと早く、伝えていれば何か変わったのかもしれない。臆病で失うことを恐れて、わざと気付かないふりをしていた。



「まだ、遅くないでしょう?」


日和は、いつからこんなに綺麗で温かく笑うようになったのか。



「日和…何言って…」


「悠斗にはたくさん救われた。こんな私を愛してくれた。だから悠斗には幸せになって欲しい」


日和の涙を、初めて見た。


「…お前だって幸せになれよ」


「ありがとう、悠斗」



日和に感謝してもしきれない。



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