世界は広い、僕等は浅い。
一目惚れ?
チクタクチクタク…………


耳を澄ますと、時計の音がやけに大きく聴こえてくる。


一人、保健室にいると本当に静かで、この世に私だけしかいないような錯覚に捕らわれる。



断然、そんなことはあり得ないことだけど、私は一人ぼっちだった。



保健室登校をし始めて、約1年余り。私は無駄な時間だとは全然思わない。


課題を出せば授業に出たことになるし、人と話す必要もない。


気楽だった。この孤独な空間に存在する私は、このままで良いと思っていた。





「せんせ〜!いる〜?」




突然大きくドアが開き、透き通った声が聞こえてビクっとする。




声の主は、どうやら男子生徒で保健室の先生を探しているようだ。



「……………あの、先生今いませんよ?」



私は、意をけして不在中の先生のことを男子生徒に伝えると、その男子生徒は、私の顔を見て、保健室に入って来た。




「…………おまえ、こんなところで何してんの?」



・・・・いきなり何なの?


私に聞く男子生徒は、何故だか私にそんなことを聞いてくる。


“そんなの、あなたに関係ないでしょ?”と言い返したくなる。だって、興味もないし、誰だか知らない。



「なんで、教室に来ねぇの?」



「・・・・・」



私は、口をつむんだ。


「なぁ、」



「あなたに関係あるの?」


男子生徒は、“ある”と答えた。


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