スマイル 〜約束した君へ〜
ナミダの理由
「あーあ…タイクツー」


ベッドの上で背伸び。
入院して今日で何日目になるだろう。


「……やっと1週間か…」


カレンダーのバツ印。
増えていっても退院できる訳じゃない。


「ついてないわね…はるな」


やっと病室に来たママ。
他人事みたいに言った。


「……先生のとこ、行かなくていいの?」


病室に来たら顔を出すよう言われてたハズ。


「…後から行くわよ」


メンドくさそうな声。
ママの態度を見てると、いつも思う。

ーーどうして私を産んだんだろうーーーって。


パパとママは結婚もできないのに、愛し合って私ができた。
その頃からママはお水の仕事をしてて、パパとは勤めてたお店で知り合ったと聞いた。
ママはまだ19才で、自分のことを「何も知らないコドモだった…」と、冷めた口調で呟いた。

(…ママは私を産んだこと、何も後悔してないのかな…)


聞いてみたくても聞けなかった。
後悔してるに違いないって思ってたし、それを認める答えを聞くのも怖かったから…。


「はるな…」


キレイにメイクを仕上げたママが振り向く。
お水の仕事をしてるママをイヤだと思ったことは何度もある。
でも、今みたいにキレイなママを見ると、それが自慢でもあった。


「何…?」


鏡越しに聞く。


「あんた、何か欲しい物ない?」


ママはいつだってそう。
私に愛情なんてくれない。
いつだって物ばかり。センパイには羨ましがられたけど、私が欲しいのは、物じゃない…。
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