シークレットガール!【完】




「何班は何時までいるか、教えてください」


文化祭実行委員の子が教卓の前で言った。


24時間学校は開いているが、10時を越えているお泊まりする生徒は、ちゃんと報告をしなければいけないのだ。


もう自由なのか自由じゃないのかワケわかんない。


「衣装班は泊まります」


「料理班は8時までです」


「内装班は4時です」


「接客・宣伝班はあと30分です」


「了解。先生に報告してきます」


文化祭実行委員の子はそう言い残し、教室をあとにした。


うん。ちゃんと質問には一回で答えてしまうのは素晴らしいと思う。


ちなみにあたしは接客・宣伝班。


あともうちょっとだ。やったね。


「優季、今日はたこ焼きだわ」


「は?お好み焼きだろ」


「…………はい、手を止めないー」


無視かよ、と言いながら、彼はまた手を進めた。


あたし達が書いているのは、当日玄関で渡す用チラシ。


そもそも、何でこんなにも文化祭の出し物1つにこんなにも力を注いでいるのかと言うと。


売り上げと来場客満足度と来場客数などをもとに先生らが独自の方法で点数トータルをする。


各学年の点数トータルで、トップのクラスのみに様々な特権や商品が与えられるのだ。


今年は、焼肉食べ放題、大学模試講義の優先、…などなどたくさんのラインナップがある。


みんなはこれを狙っているのだ。


勉強のスペシャリストの人の講義が受けれるやら、クラスの設備が少しよくなるなら、…色々とかなりの優遇をしてもらえるというウワサだ。


「…どうでも、いいんだけどなぁ」


特典とか、優遇とか。


「そういう訳にはいかないだろ」


「…………………」


まぁそんなんだけど。


「…やるしかないのかな」


「ようやく、メイド服着る気になったのか?」


「…………それは、ないです」


てゆーか、優季くん。君は何で美沙ちゃんメイド服計画賛成派なの。


反対派だろうよ、君は。


美沙ちゃん、味方だと思ってたのに。


日本国憲法暗唱大会の締切日が過ぎていたことの次にショックだわ。




< 244 / 541 >

この作品をシェア

pagetop