シークレットガール!【完】




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そろそろだとは、思ってた。


長くて2ヶ月、と余命の宣告をされたときは、あと2ヶ月もあるか、なんて思っちゃったし。


まさか2ヶ月どころか1ヶ月にも満たないなんて。


つくづく運がない。


体はなんとか動いたものの、視力は低下し続けていて。


特に酷かったのが、平衡感覚がなくなること。


物を取ろうとしても、手が届いていなかったり、逆に伸ばしすぎて手が過ぎてしまうことが、よくあった。


頭痛だって酷かった。


もとから視力がない上、頭痛で視界がメリーゴーランドのように回る回る。


チカチカするは、急に白くなるは、暗くなるは、大変だった。



しかし。


そんな症状がずっと続いていたのに、今は何ともない。


嬉しいことだけれど、違和感しかない。


と、その時。小さな少女が横切った。




『お母さん、お母さん』




小さな手で、必死に体で気持ちを表現する小さな彼女。


その彼女は、紛れもなくあたしで。


お母さんは、「良かったね」と言葉を言いながら、あたしの頭を撫でてくれていた。


いつの頃の話なのだろうか。


まだ何も起こっていない幸せな頃の風景を映した泡はパチンと弾けた。


ふと気づいた。


これは、きっと走馬灯だ、と。


あたしの人生もお開きのようだ。




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