ありがとう

お母さん、私はもう病気に負けてるの。


余命1ヶ月なの。


『坂子はまだ負けてないよ』


ううん、負けたよ


『負けてないよ、だって生きてるじゃない』


え?


『生きてるってことはまだ負けてないってこと。だからいくらでも勝てるチャンスはあるんだよ』


お母さん...ありがとう。


でも、私、弱いから...。



『ううん、十分、坂子は強いよ。あんなにいじめがあっても耐えてるじゃない』


それは...香奈がいるから。


香奈が勇気をくれるから。

『そうね、それもあるかもしれない。だけ坂子にも強さがあるの。自分では気づいてないかもしれない。けど、ずっと友達でいてくれた彼女ならあなたの強さにも気づいてくれてるはずよ』


私の...強さ...


もう一度、前を向いたときにはもう、お母さんはいなかった___
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