シルビア




「あっ、凛花さん!大変です!」

「ん?どうかしたの?」

「取引先から電話でっ……昨日納品予定の商品がひとつも入ってないって!!」

「えぇ!!?」



商品がひとつも!?

驚き、大慌てで取引先との電話を代われば、それはうちの取引先の中でも大きな、全国70店舗もの雑貨店を持つ会社で……『昨日納品予定の特価品セットが全店ひとつも入荷していない』、とのこと。



『日曜に全店一斉で大きなセールがあって、そのための打ち出し品にする予定だったんですが……どうなってるんですか?』

「す、すみません、こちらの発送手違いで……今日中にすべて速達で出します!絶対!」



幸い向こうの担当者は温厚な人で、怒ったりはしなかったけれど、当然向けられたのは『間に合うのか』という不信感でいっぱいの声。

それに対し今は謝ることしか出来ず『すみません、すみません』と繰り返し、ようやく電話を切った。



「今12時……遠方から急いで出せば間に合う、はず」



今日は他の仕事してる場合じゃない、とりあえず出荷作業を先にして……。そうあれこれと、この後の段取りに頭をぐるぐると働かせる。



ああもう、なんで気づかなかったんだろう!

でも確認しなかった私も私だけど、担当者は誰!?なにしてたの!?



バタバタとパソコンの中のデータから今回の発注に関しての資料を見つけ出すと、そこには『担当者・織田』の文字があった。



< 131 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop