シルビア




「それに私、脚立から落ちても怪我もしないくらい丈夫だから!望のひとりやふたり支えるくらい、楽勝!」



えへん、と胸を張って言った私に、それまで真剣な表情をしていた望の顔が固まる。

そしてまた戸惑って、悲しげに揺れて、でもどこか折れたようにおかしそうに笑う。



「……確かに、そうかも」



目に涙を浮かべて、あはは、と笑うその笑顔は、あの頃と変わらない私の大好きな笑顔。

つられて笑みをこぼせば、望は伸ばした腕でぎゅっと私を抱きしめる。今までの時間を埋めるように、痛いくらいの力で。



「……ありがとう、凛花……好きだった、好きだよ、今もずっと」

「うん……私も、望のことが好き」



涙でぐしゃぐしゃに顔を濡らして、額をよせるふたり。人目も気にせず顔を近づけると、そっとキスをして、互いの存在を確かめあう。



好き、大好きだよ、ずっと。

肌を濡らす、その涙ひとつすらも愛おしい。



あなたが笑うなら、私も笑えるよ。

あなたが泣くと、私も泣いてしまう。

単純なこの心は、いつもあなたに左右されるんだ。



だけどこれからは、ときにはあなたが泣くときに笑顔で受け止められるように、精一杯のちからで、あなたを支えてみせるから。

だからずっと、この手を離さないでいて。


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