ユウウコララマハイル
「うちの母校は優秀な人材が多いですな」
「それはやっぱり真智さんの教え方がいいと遠まわしで言ってるんだろ」
「じゃあ、じゃあ―――厨房に入るようになって、まさかケーキまで作れるようになるなんて」



よよよと着物の袖で涙を拭うような素振りをしてみる。



「ドヤ顔でこっち見るなよ。わかったから、もう」



フォークを唇で挟んでそっぽを向いた古沢が小動物のように可愛らしい。



「大丈夫、これもちゃんとおいしい」



面と向かって褒めるのは難しい。
古沢の横顔だから言える。
これが仕事だと割り切れるなら、褒め言葉や飾る言葉を過剰に並べることができるのだが。



「洗い物はあとで私がやるから、流しに置いといてよ」



古沢はまだパウンドケーキが半分残っている。
そんな古沢を放置して、ナツミは食べ終えた皿をキッチンへ運ぶ。


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