〈BL〉一時の幸福(しあわせ)〈短編〉
「承諾したのか?」

何でそんな事訊くんだよ……‼

俺は、八つ当たりだと
分かっていたが心の中で
顕正にイライラしていた。

『お前には関係ないだろう……』

せっかく、この気持ちを
忘れようとしてるのに
乱さないで欲しい。

「いや、関係ある」

イライラから一変して
驚きに変わった。

『何でだよ』

“ただのダチ”が
見合いしただけだろうが。

見透かされそうで
目を反らしたら
押し倒された。

えっ……

頭がついていかない。

『顕正?』

こんなことを
されたら、変な期待をしてしまう。

「ここまでしてもわからないか?」

待て待て、そんな素振りは
この十一年の間、一度も
見せなかったじゃないか……

驚きすぎて、声が出せない。

何も言わない俺に
痺れを切らしたらのか
両手首を持って起き上がらされた。

『顕正』

名前を呼んだ声は掠れていた。

顕正は応える代わりに
乱暴に唇を合わせた。

『んっ、んん……』

苦しくなって、顕正の胸を叩いた。

ふぅ~

空気が吸えた……
< 5 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop