君の声


「わざわざありがと」

宮村家から徒歩五分。
家の前まで送ってくれたお礼を伝えた。

“こっちこそ、充電器ありがとうね”

携帯画面に映し出される電池の残量は、悲しいものになっていた。

「電池やばいじゃん。早く帰りなよ」

“うん、そうする。じゃ、また明日”

帰るまでの間ずっと繋がれていた手が離れた。

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