(仮) 約束。
1st
出会い
春が終わり夏が訪れる、微妙な季節。
あたしはこの春、高校に入学した。
特にやりたいことも見つからなかったあたしは憧れていた電車通学をしたいという理由で家から少し離れた高校に受験した。
「雪菜(せつな)!大会見に来るだろ?」
声をかけてきたのは幼なじみの瞬。
「うん、行くよ。暇だし……。」
「さんきゅ、応援頼むな!」
瞬はバレーボール部に入っている。
小学生の時にあたしと始めて、
中学時代は大会の最優秀選手に選ばれたこともある凄いリベロ。
高校からの推薦でバレーで入学みたい。
それで、一年生ながらもメンバー入りして今度の大会にも出るみたい。
あたしは中学で瞬に誘われてバレー部のマネージャーをやった。
高校でも誘われたけれど、断って何も入らなかった。
「雪菜!瞬くんと仲良かったの!?」
瞬の後に声をかけてきたのは高校からの友だちの神田陽菜。
「あっ、うん。幼なじみだよ?」
「ええ!あんなイケメンと!?」
「うん。まぁ……。」
瞬、イケメンって言われるけど、
そうなのかな…?
「瞬くんの試合行くんでしょ?」