(仮) 約束。


「そんなことないよ!」



女の子のことなんて聞けないし、慶斗に変に思われたくない。

あたしは笑って答えたけど。



「無理して笑ってるだろ。」



その通りだからあたしは返す言葉がない。

あたしも慶斗も話さずに沈黙が流れた。



ここであたしが思ってること言っちゃったら、慶斗はどう思う?


あたしのこと重いって、めんどくさいって思うよね。




「悪かった、突然あんなこと言って遅くまで待たせて。」


先に沈黙を破ったのは慶斗、だったけど。



なんで、謝るの?


これじゃあ、あたしが慶斗と帰るの嫌みたいじゃん。



「待たせて雪菜に負担かかるし、大変だろ?

何も考えてなかった。


本当ごめんな。」



「…なんでっ……」


「ごめん、俺帰る。」



いつもなら頭ぽんってしてくれるのにそれもせずに慶斗は来た道を戻って行った。




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