SECOND プリキス!!








「今学期からこの学び舎で皆さんと共に学ぶ、新たなクラスメイトを紹介いたします。兵藤 佳蓮さんです。」



舞台は変わって1年生教室。

担任の女の先生に紹介されるため、兵藤さんは黒板の前にいた。



こんな時期に“カナ女生”の転校生。

更には超美少女、毅然とした態度。

生徒達の注目を集めるのにこれで十分な材料だけど、一番の注目ポイントはやっぱり……



「兵藤ですって!」

「あの兵藤グループの?」

「兵藤のお嬢様は、この学年だったのね。」




そう、“兵藤”。

私も初めて名前を聞いてから薄々感ずいていたんだけどあの子、兵藤グループのお嬢さんだ。

世間から『陸の北原、空の烏丸、海の兵藤』と言われる御三家の一つ。

造船業やクルーズツアー等が有名で、国内で4番目を誇る、大きな会社だ。

そのお嬢さまがカナ女に来たということは、校内カーストだって大きく変わるし、誰もが取り入りたいと思うもの。

そして、どんなお嬢さまか知りたいとも思うだろう。




「そ、それでは兵藤さん、皆さんにご挨拶を。」



熱い視線で転校生を見つめる生徒たちとは違い、何だかむしろ怖がっている様子で先生は兵藤さんに接する。

ほら、あれだから。

転校生じゃなくて、“停学明け”っていう事実を知ってるから怖いのだろう。





「兵藤佳蓮と言います。……此処では、たくさんの事を学びたいと思っているんで、よろしく。はよ此処に慣れたいと思います。」


静かなトーンでそう言った後、兵藤さんは頭を下げた。

一瞬シーンとなる教室。

だけれども、それは一瞬の事。




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