「さよなら」って言って？

　みんなが学校で授業している時間、俺は２週間話せなかった分星野さんと楽しく話した。

　
　そして、話はサッカーの話題になった。


　「悠馬君。大丈夫、足？」

「もう大丈夫だよ。順調に治ってきてるって。今日だって走ってきただろ？」

「そうだけど・・・・。サッカーは大丈夫？」

なんか自分が怪我させたみたいに心配してくれる星野さん。

そんな彼女に「大丈夫だよ」って笑顔で答えた。

「う～ん。スタメンになるかは別として、サッカーはもう少しでできると思うよ。」

「そっか・・・・。」


　なんか２週間ぶりなのに暗すぎる。

俺はこんなことに気が付いて話を変えた。

「・・・そういえば、星野さんっていつ退院するの？」

　彼女は最初「えっ？」って顔をした。

「あっ・・・でも、調子悪くなったばかりだからな～。しばらく退院できないかも。」

「そっか・・・・。」

　この話も暗い。そんな時。
星野さんは急に笑い出した。

「悠馬君の試合見に行きたかったな～。」

　星野さんは笑ってごまかしている気がした。
こんな真面目な話なのに・・・。


　確かに俺も星野さんにサッカーの試合見に来てほしかった。


「じゃあ、星野さん。約束しない？」

「どんな約束？」

「俺は、足を完璧に治してスタメン入り。星野さんは退院してスタメン入りした俺の試合を見に来る。どう？」

しばらく沈黙が続いた。
彼女は下を向いている。
そして彼女は笑って俺の目を見た。

「いいね、それ。・・・じゃあ、約束。」


　星野さんは小指を出した。


　俺も小指を出す。


　俺たちは小指を固く結んだ。