俺、兄貴になりました②



「ただい…」


「「おっかえりーー!!」」



ドアを開けた瞬間俺の目に飛び込んできたのは、満面な笑みを浮かべた兄弟だった。



「お前ら、なんで玄関にいるんだよ」



呆れたように苦笑いする翔にぃに、慶と尚が答える。



「だって翠にぃが帰ってくるか心配だったし」


「翔にぃがやらかすかもしれなかったしねー」



はははっと笑うみんなの顔を見て、なぜか涙がこみ上げてきた。


涙を堪えながら俯いていた俺の肩に、ポンっと手が置かれた。


反射的に顔を上げると、恋にぃが優しい笑顔を浮かべていて。



「翠、おかえり」



優しい声で、そう言ってくれたんだ。



おかえり



もう一度その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れて止まらなくなった。



「うぅ……っ…」


「あー!恋にぃ泣かしたー!」


「泣かしてない。翠が勝手に泣いた」


「泣かしてんじゃん!」



俺、やっぱりこの家が好きだ。





< 37 / 116 >

この作品をシェア

pagetop