隣のあなた。


「夕方、家にいる?」

『ん?常にいますよ』

私達は笑いながら言う
お互いわかってるのに
言葉に出すと笑えちゃう


「親父がそっちに行くって。連れて行くって言ってたから……」


連れて行く?誰を?
敦司さんの電話の向こうで
ガヤガヤといろんな人の声が聞こえ
その中には冴島さんの声もあった


職場からかけてるんだ……
あの人……もしかして弁護士さん?


『わかった…敦司さんは?』


「ん?ごめん、抜け出せないかな……」


『うん、わかってる。お仕事頑張って』


「おぅ、帰ったら話聞くわ」


私は電話を切った。
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