小指を絡めて明日を望む






 知ってるだろうか。
 弱いやつからどんどん消えていっていることを。今まさにこの瞬間にいなくなっているかを。


 感受性。
 繊細さ。


 そんなのをもっている人は、傷つく。馬鹿みたいにズタズタとなる。

 逃げ場があるならいい。だが、家も友人も、誰もいなかったら、どうすればいいというのか。

 八つ当たりだ。
 私はそう思って口を閉じる。こんなこといって何になるのか。


 大人になりきれない、中途半端さ。
 でも、二十歳になったって変わらないだろうということを、私は知っている。二十歳になったら大人なんだろうな、も思えるのは中学生までだ。

 高校になると、先が見えてしまって苦しい。同級生らは互いに共食いするように言葉で傷つける。
 


「あーあ、どっか遠くに行きたいな」
「遠く?」
「そ。ああでも、やっぱり」



 ―――消えてしまいたい。
 ストローから、コーラの味と炭酸を感じながら、思う。

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