竜王華伝 (完)
早く、帰らなきゃ。

校門を出た後の坂道を降りていたとき。

「桃葉。」

………え?

彼の声が聞こえた。

「え?」

「迎えに来た。」

「り、竜二!! どうしたの?」

「心配だったから来た。帰るぞ。」

――ドキッ

ってした。…これは、優しさにたいしてだから。別に…。

「ありが、と」

「ん。」

っていいながら、手を出してきた。

迷わず手を繋いだのは…、

違う。違うよ。

一人が寂しかったからだよ?
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