笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~

  2人の関係~愛美Side~

私が陽泉を初めて見たのは、私が高校2年生な夏休み。
3年生が引退し、バスケ部のキャプテンになったばかりの私は、顧問の先生に連れられて、中学の全国大会を見に来ていた。
そこで先生から"良く見ておけ"と言われたのが、当時中学3年生だった、地元チームの『4』番陽泉。

そのプレーを初めて見たときの衝撃は、今でも覚えている。
資料によると、身長は160㎝と、ガードと言うポジションを考えてもあまり高くない。
それでいて、コートに立つと大きく見えるのは、その存在感からか―
ボールを手にした彼女は、自由自在にそれを操り、コートの中を縦横無尽に走り回る。
仲間の動き·敵の動きをしっかり読んで、空いていり場所へ的確なパスを 出す。
隙があれば、自分からドライブで攻め込む。
ディフェンスでも、マークマンにしっかりつき仕事をさせない。
仲間への指示も的確で、チームメイトも彼女に絶対の信頼を置いている。
キャプテンとして、ガードとして、チームになくてはならない存在感だ。
だからと言って、陽泉がいないと何も出来ないわけじゃなく、彼女を休ませているあいだも、しっかり自分たちのペースで試合を進めていた。
結局1回戦は、3Qに陽泉をベンチに下げたのにもかかわらず、98対37と圧勝だった。


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