笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
吉田さんが陽泉を抱きしめたままなのが気に入らないのか、女性の1人が
「祐介先輩。いつまでその人のそばにいるんですか?」
と言い出した。

それを聞いた吉田さんは私を見て、
「このままヒナを送って行けばいい?」
と聞いてきたので、
「はい、よろしくお願いします」と頭を下げた。
すると、
「じゃあヒナを車まで運ぶので、青山さんはヒナの荷物をお願いします。あと、車のキーを開けてもらえると助かります」
そう言って、車のキーを渡された。

「分かりました」
私がそれを受け取ると、
「ヒナ、ごめん。ちゃんと俺につかまってて」
陽泉に声をかけて、そのままお姫様抱っこする。

なぜか男性2人から、
「おぉー」と歓声が上がる。

女性陣は、"一体どうなっているの?"·"信じられない!"と言う表情で見てる。
「ちょっと待ってください、祐介先輩!美咲さんはどうなるんですか?」
そう食いついたのは、さきほどの女性。

「…美咲とは、後でちゃんと話をするよ。
…今の俺には、美咲よりもヒナの方が大切なんだよ」
吉田さんはそう言うと、そのまま歩き出す。

「青山も、陽泉ちゃんと自分の荷物を持って早く行け!ここは俺たちが会計しておくから」
小野くんが言ってくれて、私は急いで吉田さんを追いかけた。



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