笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~

  諦めきれない想い



翌日。
11時40分。
Cコートの第3試合。
拓海たちの試合が開始される。
富士中と並んで優勝候補とされるうちの学校。
その試合を見ようと、富士中だけでなく、何チームもがギャラリーから見守る。そんな中で試合を行う。

「うわっ、スゴイ!
こんな中で試合をするんですか?」
試合前のベンチ作りの中、1年生のベンチメンバーが驚きの声をあげる。
「"優勝候補"ってことは、それだけ注目を浴びるってことだから。
まぁ、決勝戦はこんなもんじゃないよ」
2年生が答える。
「…拓海先輩たち、マジでスゴイです!」
そう言って拓海たちに尊敬の目を向ける。
…私からすれば、1年生でこの舞台に立てる彼だって、スゴイ選手だと思うのだが。

「3分前です」
レギュラーメンバーが、アップを終了してベンチに戻ってくる。
それからすぐ、スタメンが登録に行く。
麻生先生と相談の上、2Qと3Qは状況を見てスタメンを休ませて、1Qと4Qはフルに動いてもらう。その戦略は、事前に選手たちに告げていた。

「よし!この試合も勝つぞ!」
「「オー!!」」
拓海の掛け声に、テンションを上げる15人。

「よろしくお願いします!」
スタメンの5人が、コート中央に向かう。
いよいよ、拓海たち3年生にとって、集大成となる夏が始まる。




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