笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~

  必然の再会~稜Side~


『どうして?
どうしてこんなことになったんだろう?』

梢の言葉にショックを受けた陽泉を宿まで送りながら、俺はそんなことを思っていた。
ちゃんと陽泉と再会できた。それまでは良かったのに…




☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

今から3年前、"四つ葉スポーツ"を辞めた俺は、小学校6年生まで近所に住んでいた片桐悟さんの誘いを受けて、中学校のバスケ部のコーチを引き受けた。
その中学校のバスケ部はそれほど強くはなかったが、みんなが一生懸命に練習に励み、バスケが大好きな想いが伝わり、とても好感が持てた。
その一生懸命さは、陽泉を思い出させた。
そして俺自身、改めてバスケと向き合うことが出来た。また、こうしてバスケをやることで、陽泉とつながっていると実感することが出来た。
いつか必ず、陽泉と再会出来ると信じていた。

俺の思い描いていた未来と違ったのは、梢の存在。
子供のころ、梢が俺に好意を持っていたのは知っていたが、あれから10年以上たった今も、好きでいるなんて思ってもいなかった。
梢本人からと、悟さんから。2人から迫られて、渋々、梢と付き合うことを承諾してしまった俺。
今思うと、この時に頑なに拒んでいれば、こうして陽泉を傷つけることもなかったのに。
俺は、自分の意思の弱さを恨んだ。

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