笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「何をそんなに盛り上がってるんだ?
このユニホームがどうした?」

支社長が、私の手元にあるデザイン画を見ながら聞いてきた。

「あー。
俺が最初にデザインして採用されたものなんですが、このユニホームを着た第1号が陽泉ちゃんだったと分かって…」
近藤主任が説明すると、

「へーっ。そうなのか?」と聞かれた。

「はい。
私たちが要望した通りのデザインで、みんなで喜びました。
私、このユニホームで、四つ葉スポーツに入りたいと思ったんです」
当時の思いを告げる。

「そっかぁ。
そう言ってもらえると、この仕事をやってて良かったと思うよ」
「そうだね」
「やる気がでるね」
「佐々木くんと陽泉ちゃんも、同じような人がそのうち現れるかもね。
頑張ってね」
みんな口々に言って、自分のデスクへ戻って行った。

それからも、佐々木くんと私はデザインを見せてもらう。
個性的なものもあるし、オーソドックスだけど目を引くものもある。
そのうち私も、喜んでもらえるデザインが書けるようになるのかな?

その日は1日、過去のデザインを見せてもらって終わった。
「陽泉ちゃん。帰っていいよ」
と先輩に言われて、
「お疲れ様でした。お先に失礼します」
と挨拶をして、定時にはオフィスを出た。


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