21時の憂うつ
時刻は21時。

ネオン煌めく街を見下ろせるオフィスにて。

「…はあ。」

この日一番のため息を吐いて項垂れたら首から提げた社員証が揺れた。

企画部主任、日比谷茜。

会社からの期待値は皆無でも容赦ない無茶な責任転嫁は多いという微妙な立ち位置なこの私。

自分の時間もない、やる気も起きない、やりがいも無い。

無いものシリーズの代表格である恋人と言う名の潤いもない。

失われていくものも多いけどシワと疲労と貯金だけは増えていくのが迷惑なところよ。

あと年齢も、か。

「29才…何やってんのよ。」

1日を振り替えってまた憂うつになる。

今日も色々な問題が襲ってきた。

いや、今日はいつもと毛色が違っていたからこんなに項垂れてる訳なんだけど。

一体何なんだ、私が何をしたって言うのよ。

そう叫びたい気持ちを抑えて眼下のネオン街をぼんやりと眺めた。

オフィスに残る人も少ないこの時間、非常階段に程近いこの休憩スペースは最高の逃避空間に変わる。

誰も近付かないここを、まるで独り占めするように静かなこの場所から夜景を眺めるのが日常に疲れた私の唯一の楽しみなのだ。

とは言ってもこの時間、この場所で私が笑っていた試しがない。

「…はあ。」

出てくるのはため息ばかり。

それでも誰にも邪魔はされたくない、私の大切な避難場所なのだけれど。

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