偽物シンデレラ

でもその言葉があの時の僕にとっての一番の言葉。

彼女も安心したのか泣き止んだ。
今思うとすごい単純だな、なんて思う。


「キミ…名前は?」


「レイラ…」


彼女は小さな声でそう言った。
少し悲しげな顔をするのはどうしてだろう。


「お母さんが付けてくれた大切な名前だから、なんだか悲しくなっちゃって」


僕が思ったことを察したのか自ら彼女はそう言った。そうか、だからか。



「貴方の名前は…?」


「僕の名前はチャーミング」


そう言うと彼女はニコッと笑った。
その笑顔はあまりにも綺麗で思わず見とれてしまったのだ。

幼いながらもそんなことを思ってなんて、
思い出すと僕はませてたんだな、なんて思う。


「素敵な名前ね」

…そう、僕は彼女のその笑顔に惚れてしまっていたんだ。




< 36 / 43 >

この作品をシェア

pagetop