ケータイうさぎと意地悪先輩。FINAL

「ここでちょっと待ってて」

 雨瀬先輩が優しいバリトンの声で言った。

 私がコクンッと頷くと、雨瀬先輩は部屋を出て行く。

 私は今、雨瀬先輩の部屋の中でちょこんとテーブルの前に座っている。


 歩道で先輩と抱き合った後、先輩に『とりあえず、俺の家に来る?』と誘われ、今に至る訳で……。

 先輩の家に来たのは2度目だけど、部屋に入ったのは初めてだ……。

 先輩のほんわかと甘い柚子の香りがする……。


 私は部屋の中を見渡すと、きちんと整頓されていて、本棚にはイタリア歌曲集や日本歌曲集等、たくさんの声楽の本が並べられている。


 先輩がこの部屋で歌の練習を毎日しているのかと思うと、ドキドキするよっ……。

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