檻の中の国
「…さあな。


ただ、今はこのアホな列車は俺にとって


都合がいい。



今頃俺は、お偉いさんを殺した罪とお前を匿った罪で天下の大罪人として指名手配されているはずだ。



人がいないなら、俺が通報されることもない。」


ゾクッとした寒気が全身を貫く。


……忘れてた……この人は……


……なに食わぬ顔で人を殺した………


…私だって………螢がその気になったら……



螢は見透かしたようにニヤリと笑った。



「…何を怖れる……?


もう遅いぞ。


命が惜しければ、俺の側から離れないことだな。」



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