雲外に沈む 妖刀奇譚 第弐幕









商店街を吹き抜ける風は、まだ微かに冬の気配を残していて寒い。


制服の隙間から冷気が滑り込んで、思葉は少しだけ身震いした。


これでも日中は5月並の気温になると、今朝見たニュースで気象予報士が言っていた。


この時季は昼と夜との寒暖差が大きい、うっかり風邪を引きそうだ。



「おい思葉、おまえ昨日行哉と何話したんだよ」



坂道に差し掛かったところで、渋面の來世に挨拶もそこそこに尋ねられた。


2週間弱の春休みも終わり、今日から思葉は高校2年生だ。


でも学年がひとつ上がるだけなので、ほとんど今までと変わらない。


いつも通りの時間に起きて朝食を胃に収めて身支度を整える。



《格好いい後輩が入ってるかもだから、ちゃんとかわいくして来ないとだめだよ二人とも!


特に思葉ちゃんはねっっっ( ー`дー´)》


〈なんであたしだけ名指し?〉


《だって綾乃ちゃんよりも思葉ちゃんの方が心配だもん~( ??з?? )


ちゃんと髪きれいにしてくるんだよ、人って顔よりもぼっさぼさな髪の方を見るもんだって雑誌に書いてあったから!!》


〈そうなんだ、初耳〉


《ことはちゃんはいつもかみほったらかしだもんね》


《綾乃ちゃんは早くスマホに慣れようね|ω・`)チラッ》





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