初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
眉をハの字に下げた亜湖が、腰に手を当て、まったくもう、とため息混じりに吐き出す。
そういえば今は、模擬縁日の係を話し合う時間だったっけ。
最初のほうはちゃんと話し合いに参加していたはずだったのに、いつからぼうっとしちゃっていたんだろう。
「……あ、ああ、そうだったんだ」
「そうだよ。ちなみにあたしは売り子で、百井は大工係。教室の中でやるものだから、そんなに大掛かりなセットは作れないけど、お店の骨組みとか、神社の雰囲気とか、そういうのを作る係だって」
「へぇ」
相づちを打ちつつ、ちらりと百井くんのほうを盗み見る。
するとちょうど、同じ大工係なのだろう、数人の男子が固まって話している席へ顔を出そうと自分の席を立ったところに重なり、なんとなくその姿を目で追った。
けれど、百井くんがちょっと彼らのうしろに立っただけで席の周りの空気がぎくしゃくし出し、彼自身はまだ口も開いていないのに「セットは俺らで作りますから……」なんていう声が、ほかのクラスメイトの騒がしい声の間を縫ってわたしの耳に入る。
「ちょっ、なんで……!?」