初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
 
たっぷりの沈黙のあと、やがてそう言った百井くんは、いったいどんな気持ちでわたしの気持ちをその胸に留めたんだろう。

「うん」と言ったわたしの声は自分でも思いがけず少しだけ上ずってしまい、さっきまでの威勢はもうどこかへ飛んでいってしまったんだと思う。

それからまた、息もできなくなるくらいの深い沈黙。

わたしにはこれからクラスの男子に物申しに行く予定があるっていうのに、まるで根が張ったみたいに足が動かなくて、情けないことに、ここから一歩も動けなかった。


「……ニナ、時間がほしい」


そんな中、百井くんの声が鼓膜を震わせる。


「先輩のことも、クラスのことも、ニナが一生懸命考えてくれたように、オレも一生懸命考える。オレだって、このままでいいなんて思ってねーよ。なるべく急ぐけど、ちゃんと考えて答え出すから、それまで待ってほしい」


その声は、まだ戸惑いの中にあって、けれどこれから自分が向き合わなければいけないものをはっきりと見据えて心を決めたような、そんな力強い声で。

百井くんがそれぞれにどんな答えを出しても、わたしもちゃんと受け入れよう。

そう、自然と心が決まる。
 
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