放課後ボーイズ
そいつは長い睫毛を伏せて、先程手に取ったラブレターに目を通し……
「えー、ごほんごほん。
『私の憧れの神様、月川湖歌様へ
初めまして、私の名前は…』あ、ここで破れちゃってる。他のは…
『愛してます、寝ても覚めてもあなたのことしか……』わ、熱烈だねぇ。次は……」
「もういい、うるさい」
なにを考えたのか、次へ次へとラブレターの破片を拾い上げ読み上げてきた。
こいつ、まじなに。
「あはは、ごめん」
笑い声を出す慈音。さっきから作り笑いの様な表情を変えていない。
俺は手早くラブレターの破片を集め、教室に備え付けてあるゴミ箱に入れた。
「こんなとこに捨てたらみんな見るよ〜?」
慈音が言ってくる。
「どうでもいいだろ、そんなこと」
「…どうでもいい…どうでもいい、ねぇ。あはは、じゃ、僕は帰るね、また明日〜」
ひらひら手を振って出口へ消えてゆく。
今日は疲れたな。こいつのせいで。
でも、頭の普段使わないような所を使ったような気がするな。
と
…ん?また明日とか言ってたよな?あいつ。
明日も来んのかよ、あの面倒な奴。
「ま、どうでもいいか」
呟き、俺も家路についた。
俺みたいな馬鹿は風邪をひかない、明日もここにくるだろう。