私の思い~きっかけとタイミング~
「新田さんは車に乗る時もお邪魔しますって言うんだな。」

どうもそこがツボにハマったみたい。

しばらく井上さんは笑っていた。

私は何を話すわけでもなく、そんな状態で運転する井上さんの笑いがおさまるのを待っていた。

「ごめんごめん。今日は少し遠出をしようと思っているんだけど良いかな?」

「はい。」

特にどこかへ行きたいわけでもない私は頷いた。

何となく会話が途切れる。

私の方から何かしゃべった方が良いのかな。

そんな事を思った時、井上さんが口を開いた。

「ごめん、実は緊張している。営業なんだからいつも何かしら話題を提供して話をしているのに…。」

前をまっすぐ見たまま、井上さんは話している。

「新田さんと二人でいると思うと、何を話していいのか分からないんだ…。」

そういう井上さんは苦笑いをした。

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