私の思い～きっかけとタイミング～

美紗side

「今日も暗いよ。美紗ちゃん。」

綾子さんにそう言われて、顔を上げる。

あんな事があっても、私は一生懸命仕事をしていた。

いや、そうせずにはいられなかったと言う方がきっと正しい。

何かをしていないと、つい恵太の事を考えてしまうから。

綾子さんは私に何も聞かない。

でも私の様子がおかしい事に気が付いている。

一登さんから何か聞いているのかな。

そこへ井上さんがやって来た。

「おはよう、新田さん。最近元気ないね。」

いつもの優しい笑顔は変わらない。

あの後も井上さんは変わらない様子で私に接してくれた。

「そうでしょう？慰めてあげてよ、井上さん。」

綾子さんはふんわりと笑う。

「じゃあ、杉浦、今日のランチは新田さんを借りても良いかな。」