白黒のぬくもり
見ると私の左足にアルトが前脚を載せていた!
私はたまらなくなって、びくっとするアルトを尻目におもいっきり抱き抱えた。
ふわふわ、ふにゃふにゃした感触がすっごく気持ちいい。
はじめの2.3秒こそじっとしていたものの、そのあとは嫌々をはじめて私の腕の間を擦り抜けた。

「何さぁ、ケチ!別に変なことしないよー、こっちおいでー」呼ぶ声虚しくアルトは私からだいぶ離れたあたりで何やらクンクンと、しきりに部屋の匂いを嗅いでいた。

DVDはいよいよクライマックス、とりあえず見てしまおうと画面に集中した。
スクロールが流れはじめて「んー!面白かった!」腕をあげて伸びをする。
手を下ろしたあたりで、ふにゃあっとしたものが触れた。
えっ?と思い見てみると、2つ並べたビーズクッションの上で、アルトが丸まっていた。

「あれぇ?また来たの?」すると寝ぼけた顔をして私を見て、ぐしゃん!
おっきなくしゃみをした。
猫のくしゃみなんて見たことがなかったので、おかしくて一人で大爆笑。
「お前くしゃみなんてするんだねぇ、おっかしい!」頭をぐりぐりしたけれど、今度はもう逃げなかった。
案外早くなついてくれるかな?
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