隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。


「もー!お風呂あがりに髪の毛乾かしてもらってたでしょ?」



ビシッとすみれに言われて、 あぁそういえば と思い出す。



ん?



まって、あぁそういえばなんて冷静に考えている場合じゃないよ!



もう8日目にして、当たり前のように感じてたけど…



よくよく考えれば、普段大ッ嫌いなんて言っている宙におとなしく髪の毛を乾かせられていた私。



あれは、ラブラブに見えるかはよくわからないけど、カップルのようには見えてしまうかもしれない。



よりによって、今日はひとつも嫌がらずいつものごとくドライヤー片手の宙の座るソファーの前に腰掛けてしまった。



───あーバカ、私バカ。



何たる失態を……



思い返せば、あの時、すみれとたっくんから妙な視線を送られていた気がする。



それはこういうことだったんだね。



「あれは……もとはといえば宙だよ。私はやだっていったのに無理矢理乾かせられたんだよ。それが毎日だったからつい慣れちゃって……」



そう、宙が悪いんだ。



最初、間違いなく私は断った。

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