ランチタイムの王子様!

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私は日曜日にも関わらず王子さんのマンションに来ると、オートロックの自動扉の前で機械を操作し家主を呼び出した。

「王子さん、入れてください」

インターホン越しに見えない相手に呼びかけると、くぐもった機械音が返ってきた。

『どうしたんですか?今日は日曜日ですよ』

「……いいから入れてください」

いつになく強気になっている私に多少の戸惑いはあったようだが、王子さんはすんなり自動扉のロックを解除してくれた。

王子さんは突然の訪問にもうろたえず、不思議そうに首を傾げて出迎えてくれた。

「忘れ物ですか?」

エレベーターを上がって部屋の前まで来るのに3分ほどしかなかったというのに、王子さんの身なりはキチンと整っている。

起き抜けのねぼすけ顔をちょびっと期待していたのに、拍子抜けである。休日は部屋着のジャージでぐーすかと惰眠を貪っている私とは訳が違う。

とは言っても、もうお昼を回っているところだが。

「買ってきました」

私は持っていた白い箱をずいっと王子さんの目の前に差し出した。

「“白鳳堂のロールケーキ”……ですか?」

王子さんは箱に印字された白鳳堂のロゴを見るなり眼鏡のフレームを上に押し上げ、目をパチクリとさせた。

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