好きになった相手には大体相手がいるんです
「詩真も一緒なんだけど?」

私を引っ張る様に悠木君が前を歩く。

「ちょ・・ちょっと一緒って・・ええ?そんな・・恥ずかしいよ」

足に力を入れて拒もうとするが、男の人の力には逆らえず

ずるずると引っ張られてまるで私は駄々をこねてる子供の様だった。

「俺が先に入ってまたバスローブ姿で取り残さるの嫌だし、かといって
 詩真がお風呂に入っている間落ち着きなく待つのも嫌だ。
だからー」

「・・・だから?」

「一緒に入るOK?」

「OKじゃない!一緒だなんて恥ずかしすぎる。無理無理ぜーったい無理」

掴まれていない方の手で壁に手をついて必死に抵抗するが

何かを掴んでいる訳ではないこの手は抵抗になっていない様で

「観念しなさい」

振り向きながら私にとどめを指す様な言葉にもうどれだけ力を振り絞っても

無理なんだとわかった私は、壁を押さえていた手を力なく下ろした。

「・・・一緒にはいるよ。だけど・・・変な事しないでね」

上目遣いで悠木君を見ると変わらぬ笑顔でニコッと笑うだけだった。

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