好きになった相手には大体相手がいるんです
「詩真ちゃん?」

「・・・・」

「しーまーちゃん」

「ふぇ?」

あーまたやっちゃった。

どうして間抜けな返事しかできないのだろう。

頭を抱えてしまいたい気持ちを抑え悠木君を見る。

案の定悠木君は私の返事に笑いだした。

今日で2回目だよ。

だが悠木君はすぐ真剣な表情を私に向けた。

「希は・・・好きな人が出来たと言ったんだ。
 相手の名前は聞いていない。知っているのはその
男に片想いしている事と俺とはもう付き合えないって事・・・
 詩真ちゃんは希からその相手の事何か聞いてる?」


どうしよう・・・知らないなんて嘘はつけないけど

本当の事を言うのは躊躇する。

だけど黙っている方が何か知ってると思われる。

悩んだ末に出た答えは・・・

「・・・好きな人がいるって言うのは聞いてる。
 でも名前は聞いてないの。」

「そっか・・・」

悠木君は大きく息を吐きながら空を見上げた。
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