好きになった相手には大体相手がいるんです
私は悠木君を起こさないように極力ごそごそしないに

すり抜けようとし、もう少しで・・というところで

悠木君の腕に力が入り作戦失敗。

「あちゃ~~」

力なく落胆の声を上げたんだけど・・・

「俺に抱き締められるのは嫌?」

私の頭上から寝起きの甘い声が聞こえて心臓が跳ねた。

「あっ・・・ち・・ちがうの!そうじゃなくて・・・」

「そうじゃなくて?」

なんなのよう~~チューしてくれなかったくせに

まるでエッチしたカップルの起きぬけの会話みたいじゃないのさ!

そんな事何にもなかったのに・・・トホホ


「ご飯・・・悠木君に朝ご飯作ってあげたくて・・・」

後ろにいるから悠木君がどんな顔しているのかわかんない・・でも

抱き締める腕がさっきよりきつくなったって事は喜んでくれているのだろうと思った。

「詩真の作ったご飯食べたい」

耳元で囁く声が甘ったるくて顔が真っ赤になった。

耳も・・・だって今・・詩真って呼び捨てで言ったよ。

「わかり・・・ました」

悠木君の抱き締める腕から抜けて起き上がった私に悠木君は

「もう悠木君はやめよう・・・雅臣でいいよ」

と私の手を握った。

ま・・雅臣でいいの!!キャー!

で・・でも雅臣って希が悠木君を呼んでいたのと同じでなんだか嫌だというか・・・

「雅君でいい?それがだめならマー君とか・・・」

もじもじしながら話す私に悠木君は詩真の好きな呼び方でいいよって

言ってくれて、もう飛び跳ねたくなる気持ちを抑えるのに必死だった 


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