好きになった相手には大体相手がいるんです
着信8件


その全てが悠木君からだった。

でも私はかけなおす事はしなかった。いや、できなかった。

だってなんて言われるか想像できたから。


詩真ちゃん・・・ごめん。


ごめんにもいろいろあるが

それはきっと私の気持ちに応えられないという意味だと思ったから・・・

そんな言葉を聞くために自分から悠木君に電話をかけるなんてできなかった。

逃げてると思われるかもしれない。でもそう言われても仕方ない。

だって私は強くないから・・・

ごめんを受け入れられる自分になるためにもう少し時間がほしい。

だって・・・好きだった時間があまりにも長すぎたんだもん。

このぐらいのわがまま・・・ゆるしてほしい

でも同じ会社に勤めている以上顔を合わす事がある。

正直昨日の事を考えると電話もさることながらすれ違うのさえも

避けたいと思っていた。

だから今回も担当の話、大変だろうけど

忙しい方が私には好都合だった。

もちろん、理由はそれだけではない。

自分のやってきた事が認められて、次につながる事が出来た。

しかもあの京極屋とのコラボだ。

和菓子好きの私にはたまらなかった。

もう~このまま恋なんてせずに仕事に生きちゃおっかな―なんて

本気でおもったりして・・・

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