オートマトン -Online- 推敲中
リアルミッション
　早朝からバスは、海の見える駅に向かって走り出した。

　こんなに早く起きたのは何日ぶりだろう。

　バスターミナルをバスはぐるりと回って国道に出ようというところで赤信号のために停車した。

　老女がファストフード店の前を、腰を曲げてゆっくりと歩いている。

　自動ドアのセンサーが老女の背中に反応して扉が左右に開くと、中から若々しい女性の「いらっしゃいませ」という声が飛んできた。

　それでも老女は両手を腰の後ろに回し、下げた頭をアスファルトの歩道と平行に並べて歩き続け、ゆっくりと通り過ぎた。

　信号が青になると、バスは車の流れにするりとのって国道に出た。

「眠いのか？」

　最後部座席の隣に座っている翔太が結衣の顔を覗き込んだ。

「ううん、まぶしいだけ」

　特にキラキラと反射するものは見当たらない。

　しかし、朝日に照らされている世界を見ようとすると、自然と目をつむってしかめっ面になってしまう。

　それでもがんばって目を開こうとしていると、時期に左手に真っ白な野鳥のいる川が見え始めた。

「おそらく通うことになるから、迷子にならないようによく覚えとけよ」

　白い中型の野鳥が水面に突き出た石の上に細い足を乗せ、川の中の黒い魚を狙っている。

　バスは速度を上げて海に向かう。
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表紙・目次

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