オートマトン -Online- 推敲中
 終点でバスを降り、海沿いを走る電車で1駅。

 改札を出て、南口に向かう。

「歩いて2、3分で着くはず」

 前からやってきてすれ違う人がみな、自分の行き先を知っているような気がしてくる。

 目が合う度に、お前は頭がおかしいのかと詰問されているような気さえしてくる。

「おにいちゃん、わたしやっぱり行きたくない」

 後ろをついてくる結衣を振りかえりながら翔太は軽く口を開く。

「ただ話をするだけだろ?」

「他人にこんな話したくない。どうせ分かってもらえないよ」

 嫌味なほど青い信号がともった横断歩道を翔太はすんなりと渡る。

 結衣は遅れて、赤になるぎりぎりで渡り終えた。

「分かってもらえなくていいんだよ、トラウマが消えればいいんだから」

「治らないよ、こんなの誰にも治せないよ」

「治してもらうんじゃない。治すのは自分だ、医者は俺たちに協力してくれるだけ。そう思ってる方がいい。他力本願じゃなくて、自分の事は自分で責任を取るってぐらいじゃないと治らないぞ」

「いじわる」

 背の低い小さなビルの前で翔太が足を止めた。

「ここの4階だな」

 結衣はどきどきしながら翔太に続いて狭く古いエレベーターに乗り込んだ。
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